収 入 再 審 申 立 書
印 紙
令和2年4月16日
最高裁判所 御中
再審申立人訴訟代理人弁護士 * * * * 印
〒***−**** *****************
再審申立人 X
〒***−**** ***************** **法律事務所(送達場所)
上記訴訟代理人弁護士 * * * *
電 話 0***−**−****
FAX 0***−**−****
〒100−0013 東京都千代田区霞が関1丁目1番1号
再審相手方 国
上記代表者法務大臣 三 好 雅 子
上記当事者間の最高裁判所令和元年(オ)第1587号国家賠償請求上告事件及び同令和元年(受)第1961号国家賠償請求上告受理事件につき、同裁判所第三小法廷が令和2年3月17日にした決定(同月19日再審申立人に送達。)には、後記のとおり再審の事由があるので、再審の申立てをする。
第1 不服の申立てに係る決定の表示
主 文
1 本件上告を棄却する。
2 本件を上告審として受理しない。
3 上告費用及び申立費用は上告人兼申立人の負担とする。
第2 再審請求の趣旨
上記原決定を取り消し、さらに相当の裁判を求める。
第3 不服の理由(再審の事由)
1 前記原決定には、以下に述べるとおり、民訴法349条2項により準用される同法338条1項9号が規定する再審事由(裁判に影響を及ぼすべき重要な事項についての判断遺脱)が存在する(なお、同法349条の解釈につき、最高裁昭和29年(ヤ)第4号同30年7月20日大法廷決定・民集9巻9号1139頁参照。)。
2 上告理由と原決定の理由
(1) 再審申立人が前審(確定した原決定に至る国家賠償請求訴訟事件を指す。以下同じ。)において提出した上告理由書(令和元年10月16日付け)の内容は、本申立書末尾に添付した別紙1のとおりである(なお、同理由書とともに提出したその要旨は別紙2のとおりである。)。
(2) これに対し、原決定の上告棄却の理由は、「民事事件について最高裁判所に上告をすることが許されるのは民訴法312条1項又は2項所定の場合に限られるところ、本件上告の理由は、理由の不備・食違いをいうが、その実質は事実誤認又は単なる法令違反を主張するものであって、明らかに上記各項に規定する事由に該当しない。」というものであった。
3 民訴法の規定
(1) 民訴法317条2項
ここで、原決定の根拠法条と見られる民訴法317条2項の規定は、「上告裁判所である最高裁判所は、上告の理由が明らかに第三百十二条第一項及び第二項に規定する事由に該当しない場合には、決定で、上告を棄却することができる。」というものである。
(2) 民訴規則190条2項
また、民訴規則190条は、「法第三百十二条(上告の理由)第二項各号に掲げる事由があることを理由とする上告の場合における上告の理由の記載は、その条項及びこれに該当する事実を示してしなければならない。」と規定している。
4 原決定が判断すべきであった重要事項とその判断遺脱(再審事由)
(1) 再審申立人(前審上告人)が前審で主張した上告理由が民訴法312条2項6号が規定する「判決に理由を付せず、又は理由に食違いがあること」(以下、前段の事由を「理由不備」、後段の事由を「理由齟齬」という。)の事由によるものであったこと、そして、前記3(2)に掲げた民訴規則190条2項に則って「民訴法312条2項6号」という条項及びそれに該当する事実を示し、それ以外の上告事由の条項・事実は示していなかったことは、前記2(1)の上告理由書の記載(別紙1、2参照)から至って明らかである。原決定も「本件上告の理由は、理由の不備・食違いをいうが」としており、この点には問題はない。
(2) そうすると、同法317条2項に基づき決定で上告を棄却しようかとする際に判断すべきことは、同項及び民訴規則190条2項の条文に即せば、端的に、同上告理由が同法312条2項6号の理由不備又は理由齟齬の主張に該当するか否かの一点のみであって、それこそが実質的な同法317条2項の要件判定の眼目なのであり、つまり、裁判に影響を及ぼすべき重要な判断事項ということになる(この事項の判断を経た上で、同項の「(民訴法312条1項及び2項)に規定する事由に該当しない場合」という条文(前記3(1))への形式的あてはめがなされることになる。)。
(3) しかるに、原決定は、同上告理由が理由不備・理由齟齬の主張に該当するか否かについて、判断をしていない。このことは、原決定の判文からして明白である(「理由の不備・食違いには当たらない。」などの文言が原決定中には見られない。)。
よって、原決定については、裁判に影響を及ぼすべき重要な事項について判断の遺脱があったというべきであり、再審事由に該当する(民訴法349条2項、338条1項9号)。
5 「事実誤認」について
(1) この点、原決定は、「本件上告の理由は、理由の不備・食違いをいうが、その実質は事実誤認又は単なる法令違反を主張するものであって」というふうに、問題を「事実誤認又は単なる法令違反を主張するもの」に置き換えているように見受けられる。
(2) しかしながら、まず「事実誤認」について見てみると、そもそも、理由不備・理由齟齬とは判決の論理的欠陥(判文自体として判決主文を論理的に導き出せないこと)を問題とするものであって(最高裁平成10年(オ)第2189号同11年6月29日第三小法廷判決・裁判集民事193号411頁参照)、「事実誤認」の問題とは次元を異にする。もし仮に事実誤認と理由不備・理由齟齬とが、同一次元上で択一的ないし排他的関係にあるのであれば、理由不備・理由齟齬に該当するか否かの問題を事実誤認か否かの問題に代替して考えることができるかもしれないが、実際は、両者はそのような関係にはなく、後者の場合は前者はあり得ないということはない。理由不備・理由齟齬が事実誤認を伴うことも伴わないことも、いずれも起こり得るのである(判決理由中に論理的飛躍等の論理的欠陥が介在した結果事実認定にも誤りを生じるような事態が起こり得ることは、容易に想像できよう。)。
(3) 従って、「事実誤認を主張するものである」と判示するだけでは、理由不備・理由齟齬を否定する判断をしたことにはならない。
ここは、やはり、理由不備・理由齟齬の主張に該当するか否かそれ自体を直接に判断することが必要な所であろう。
(4) なお、ちなみに言っておくと、そもそも、本件前審国賠訴訟事件は、再審相手方(前審被上告人)国が事実関係を全く争っておらず(前審第一審答弁書3頁、前審第一審の第1回口頭弁論調書)、つまり事実関係に全く争いがない事案なのである。従って、上告において「事実誤認」が問題となる訳がなく、実際、再審申立人(前審上告人)は、前審の上告理由において事実誤認の主張などは全然行っていない(再審申立人が主張していたのは、ひとえに前審控訴審判決の論理的欠陥、即ち理由不備・理由齟齬だけである。)。これは前審上告理由書の記載(別紙1、2参照。)から至って明らかなことである。
6 「単なる法令違反」について
(1) 前記5の「事実誤認」に加え、原決定は、さらに、「又は単なる法令違反を主張するもの」とも言っている。
(2) しかしながら、理由不備・理由齟齬自体がそもそも法令違反(民訴法253条1項3号(判決書の記載事項)の違反)なのであるから、理由不備・理由齟齬を否定するために「それは単なる法令違反の主張だ」と言っても、何の意味もなさないことは明らかである。
ここは、もし上告を棄却したいのであれば、当該上告理由として主張されていることが理由不備・理由齟齬以外の具体的に何の法令違反の主張なのかを示した上で、従って理由不備・理由齟齬の主張には当たらない、というふうな説明が必要な所であろう。
(3) なお、ちなみに言っておくと、再審申立人(前審上告人)は、前審の上告理由においては、理由不備又は理由齟齬(民訴法312条1項6号)以外の法令違反の主張は全然行っていない。これも前審上告理由書の記載(別紙1、2参照。)から至って明らかなことである。
7 理由不備・理由齟齬そのものが明確に主張されていたこと
さらにちなみに触れておくと、再審申立人(前審上告人)は、前審の上告理由において、前審控訴審判決(東京高等裁判所平成31年(ネ)第1162号。上告理由書中では「原判決」と呼ばれている。)の理由不備及び理由齟齬を明確に主張しており、これは、前審上告理由書5頁以下の記載からして至って明白である(別紙1、2の参照。)。
その主立った所を挙げれば、例えば、以下(1)から(5)に挙げるとおりの記載が同理由書に含まれているのであり、前審の上告理由は、理由不備・理由齟齬そのものを端的且つ明瞭に主張していたというほかない。これを、理由不備・理由齟齬の主張が「実質」的にはなされていないなどと見間違うことは、「実質」の意味を如何に広く解したとしてもあり得ないし、ましてや、理由不備・理由齟齬の主張に該当しないことが「明らか」ということもあり得ないはずである。
(1) 「・・・原判決は、判断理由の骨格を欠き、その結果、論理的に主文を導出することが不可能で、判文自体として論理的完結性がないと言うほかない(最高裁平成10年(オ)第2189号同11年6月29日第三小法廷判決・裁判集民事193号411頁参照)。」(同理由書10頁8〜11行目)
(2) 「以上より、原判決は、判決としての存在を許容し難いほどに理由が欠如して不合理であると言わざるを得ず、即ち、判決に理由を付していない(理由不備)と評価される(民訴法312条2項6号前段)。」(同理由書10頁20〜22行目)
(3) 「なお、原判決につき、理由自体は一応形式的には付されているものとし、その上で、前記(1)から(4)に挙げた問題点(論理が主文の結論まで繋がっておらず不合理であること)について、それを理由の記載自体の前後矛盾、論理的一貫性の欠如とする捉え方もあるかもしれないので、原判決の理由に食違いがある(理由齟齬)(民訴法312条2項6号後段)との主張も念のため予備的に行っておく。」(同理由書10頁23行目〜11頁2行目)
(4) 「つまり、原判決は、「前提事実」の箇所においては、前訴第一審判決は「平成21年6月5日の時点において武富士に対し140万円超の過払金請求をすると確定したとはいえない」と認定している(つまり、同日時点で当該過払金返還請求はまだなされていないことを前提としている)とし、他方、「当裁判所の判断」の箇所においては、前訴第一審判決は「武富士に対し同日付けで242万7705円の過払金返還請求をした」旨を認定しているとしている。
これは、明らかに、理由の記載自体の前後矛盾であり、明々白々たる理由齟齬(民訴法312条2項6号後段)である。」(同理由書14頁8〜16行目)
(5) 「なお、以上で指摘したのは、原判決の判文自体から明らかな論理的欠陥についてであって、原判決の事実誤認、法律解釈の誤りによる理由の不足等に対する異議ではないことを、念のために付言しておく。」(同理由書16頁18〜20行目)
8 結論
以上より、原決定が裁判に影響を及ぼすべき重要な事項につき判断を遺脱していて、これにつき再審事由が存在することは明らかである。
さらにその上、前記5(4)、6(3)、7で触れたとおり、原決定の判示内容自体に大規模な誤謬もある。
かかる著しい欠陥を有する原決定を放置することは、明らかに、裁判の適正の理念に反し、訴訟当事者である再審申立人に酷に過ぎ、ひいては裁判に対する真の権威と信頼を損なうことに繋がろう(高田裕成ほか編『注釈民事訴訟法第5巻』(有斐閣、平成27年)459頁、石川明ほか編『注釈民事訴訟法(9)』(有斐閣、平成8年)1頁等参照)。
よって、再審を開始した上で、原決定は取り消されるべきである。
附 属 書 類
1 再審申立書副本 1通
2 委任状 1通
3 確定決定の写し 1通
以 上
(別紙1) 省略(内容は前審の上告理由書です。)
(別紙2) 省略(内容は前審の上告理由要旨です。)